2023年度 水稲雑草防除試験
除草剤に代わる水稲有機栽培用物質の抑草試験
PDFデータ版

1.目的
自然生態系に有害と考えられる除草剤に代わる安全な物質の除草効果を検討する。
2.試験方法
(1)試験規様
33×26 cm(85.8 c㎡)深さ25 cmのプラスチック製の箱ポットに深さ20 cmの水田土壌を入れ、土中保全しておいたノビエ、カヤツリ草ホタルイ、コナギ、キカシ草等の代表的な雑草種子を5月17日に混土し、2区制で試験。
(2)元肥施用
全N(窒素)=6%、P(リン)=9%、K(カリウム)=6%、苔土=2%の粒状肥料を10a当たりN8 kg相当量を5月20日に施用混土し、水深約5 cm保持。
(3)水稲苗定植
2023年5月21日に移植、1株3本植、箱ポット当たり2株植水稲品種、きぬむすめ、4葉期移植。
(4)抑草物質の散布
2022年産「茶の実粉砕物」(私物生産)及び「茶の実圧搾物」(会社生産茶の実圧搾物)を水稲苗定植後の5月24日に散布。
3.試験結果
(1)水稲の生育調査結果

(2)雑草量調査結果

茶の実=自宅で粉砕使用 / 圧茶=業者微粉砕圧縮茶粉末
数値は箱ポット当たり(85.8cm当たり) / 雑草採取日6月28日(水稲移植後38日)。tは0.1g以下で痕跡あるも計量できず。
4.試験結果と考察
- 無処理区(1区)は穂重がやや少なく雑草害のためと思われるが、他区は施用物の影響や雑草害は無いものと思われる。
- 発生雑草の生育は抑制されたが、ホタルイは発生量が多くその抑制力は劣った。
- 無処理区に対し雑草発生数は少なかったが、一般に雑草の散布数が多いことや雑草の発生数が自然とは異なり多いことが考えられ、雑草種子数散布の在り方を検討する必要があると思われた。
- 全体として雑草発生数が非常に多く、雑草の発生が水稲の初期生育に影響があることも検討する必要がある。
- 全雑草発生量を6月28日(水稲移植後38日)に調査したが、無処理区を除いては後期の雑草抑制被害は少なかったことが考えられる。
5.試験資料


撮影:米倉2023年7月3日
※写真の画角が異なったため、写真内のメジャーを基準におおよそのサイズを揃えて編集掲載。(変更:武藤)