エコロジーライフ研究会の目指すもの

エコロジーライフ研究会設立趣意書

ヘルシー食である日本型食生活の習慣が崩れ、外国産食料が巷にあふれ、飽食の時代がつづいている今日ですが、食に対する不安が様々な事例から浮かび上がってきました。ポストハーベスト農薬や保存薬品が使用された輸入食品・加工食品、外観だけが重視され農薬やホルモン剤が多量散布された農産物、さらに抗菌抗生物質やホルモン剤・重金属等を多量に投与飼育された畜産物などが市場に出回っています。

 また一方、周辺環境に目を向けると、ダイオキシン類や農薬・化学肥料・環境ホルモン等に起因する大気・河川・池沼の汚染による自然生態系の破壊が発生し、大きくは地球の温暖化、オゾン層の破壊など人類の生存を脅かす地球規模の現象異変が現実のものとなってきました。

 このような状況の中で、多くの消費者は、人体生理に有害な物質を含む農畜産物や加工食品に対し大きな不安を抱き、また、地域環境や地球環境の破壊に強い危機感を持つようになりました。

 この度制定された新農業基本法の審議過程において、消費者市民は、安全な食料「いのちとくらしの安心安全」を究極の目的とすることを強く要請しました。それと共に有識者からは、農業・農村の国土・環境保全などの多面的機能についてもその意義が強調されました。

 しかし、今日の農業の現実をみるとき、このような目的とはかけはなれた農業が行なわれています。それは工業・商業資本の市場原理を優先する農業政策が永年続けられた結果であり、そのことが自然生態系と共存する本来の農業の成立を困難にしているからです。省力化・増収そしてコストダウンの至上命題の下で、化学合成肥料や除草剤・ホルモン剤の多量使用、抗菌抗生物質の多投与などによる作物や家畜のアブノーマルな生育、これに起因する病害虫や疾病の発生、そして殺虫殺菌剤・抗生物質の多量使用という悪循環を来しているのが現実の農業の姿です。

 本来の農業はその地域の自然生態系と共生し、環境を守り、安心・安全な食料を市民に提供するものでありましたが、高度経済成長の経済至上主義の下でいつしかその使命が忘れられ、自ら環境の破壊者となり、その生産物すらも消費者から不安の眼差しで見られるようになりました。

 現在の農業がもたらしている負のインパクト(影響)について、心ある生産者や多くの市民は大いに憂慮し、自然と共生する生態系保全農法による安全な農畜産物の生産や自然環境の保全を強く望んでいます。さらに最近では、農業の多面的機能の一つとして、農業、農村風景のもたらす精神の癒しの役割や、幼い子供達の情操教育の場としての効能を積極的に活用しようとする声が上がっています。

 このような背景をふまえ、私達は今までの農業のあり方を反省し、自然と共生する農業の本来の姿にたち帰り、生産者と消費者が一体となり、「安心・安全な農畜産物」の生産供給体制を作る必要を痛感いたしました。そしてまた、その多面的機能を活用して、高齢者に生きがいをもたらし、幼い子供達の健全な生育に貢献し、地域の活性化と環境保全に役立つ永続性のある農業のあり方を究明することを決意しました。

 そのために、地力の培養を基本とした無農薬有機栽培と安全飼料自然飼育を取り入れた畜産業を目指し、一人一人の生活のスタイルを見直し、「安全な食と農でいきいきライフ」をモットーに、生産者と消費者の結合による地域の活性化を究極の目標として、ここにエコロジーライフ研究会を設立することにしました。

 安心安全の食生活と自然と共生する生産緑地空間の創造を目指し、間もなく訪れる21世紀に、すばらしい自然を子供達や孫達に残そうではありませんか。

 消費者、生産者を問わずこのような趣旨に賛成される方々の積極的な参加を期待いたします。

エコロジーライフ研究会
設立発起人代表   
清 水 録 朗 
平成11年6月1日